blog

ブログ

blog

blog

刺激的だったEACの視察報告と、
江東区の未来に向けた政策のお話し

刺激的だったEACの視察報告と、江東区の未来に向けた政策のお話し

三次ゆりか
三次ゆりか

みなさまこんにちは。
江東区議会議員の三次ゆりかです。

三次ゆりか
三次ゆりか

今回は、私の最近のプライベートに関する小話から。

私はかねてよりスナックで働いてみたいと思っていました。地元の方々のグラスにお酒を注ぎながら、ああでもないこうでもないとお話する。実のある話でも、そうでもない話でも、お喋りが大好きな私にとっては天職ではないかと思ってきたのです。

そして先日から、週に1〜2回というペースながら知り合いの手伝いという形でスナックデビューを果たすことになりました。

スナックデビューをした三次ゆりか

まだまだ議員活動に邁進するつもりですし、次のキャリアを考えるのは気が早いものですが、私にとっては「第三」でも「第四」でもいい。やりたいことを、やりたいときにチャレンジしていきたい。それがスナックの経営になるのかはまだ分かりませんが、そんな思いでいます。

さらに Youtubeの人気チャンネルである「令和の虎CHANNEl なでしこ版」に参加させていただきました。プレゼン内容は「若手の出馬をサポートし多くの地方議員を輩出したい!」。結果はどうなったのか・・・。無事に資金は得られたのか。はたまた虎の皆さんにコテンパンにされてしまったのか・・・。ぜひご覧ください。

【前編】

https://www.youtube.com/watch?v=hpGKLLEN6dM

【後編】

https://www.youtube.com/watch?v=lTN9Uib76fg&t=1424s

アジアの高校生が東京に集い、江東区の観光振興策をプレゼン

まずは、先日私も関わることができた、とても刺激的イベントについて紹介したいと思います。3月24日から30日まで東京で開催された『Economics Asia Convention(EAC)』です。

このEACというイベント。名前だけ聞くとなんだか難しそうに聞こえますが、かなりエネルギッシュで、未来を感じさせてくれる素晴らしいもの。簡単に説明すると、アジアの優秀な高校生たちが一堂に会して、経済・金融・ビジネスについて学び、考え、そして交流する場です。

日本を含めたアジア数国の高校生たちの純粋な情熱と、国や地域を超えた交流の可能性に、たくさんの希望と刺激をもらいました。

今年は日本、そして東京での開催だったこともあり、せっかくならと、私たちの江東区にもスポットを当ててもらうことになっていました。

具体的には、区のシティプロモーション課の課長に協力してもらい、高校生たちに江東区の魅力や現状について紹介。さらに深川、臨海、砂町、亀戸という4つの特色あるエリアに絞り、それぞれの地域でどんな観光振興策が考えられるか、高校生たちにプレゼンしてもらうという企画が実行されました。

今回は、日本、香港、マカオ、ネパールから高校生が集まったのですが、課長の話を熱心に聞いたあと、すぐに各エリアに分かれて現地調査に突入。わずか1日という限られた時間で、彼らは自分たちで見て、感じて、考え抜いた提案を英語でまとめ、翌日には堂々とプレゼンテーションを行いました。

彼らの発想力と行動力には本当に驚かされました。

たとえば、亀戸では、歴史と情緒あふれる街並みを活かし、人力車ネットワークの導入、豊洲では、活気あふれる市場の魅力を体験できるよう、セリ見学と握り寿司作り体験を組み合わせたプログラムが構想されています。

清澄では、清澄公園の自然豊かな空間を活用し、カフェ体験を通じて訪れる人々に癒しの時間を提供するアイデアが挙がりました。砂町では、地元商店街である砂町銀座を「天ぷらストリート」として特化し、食の魅力をさらに発信していく計画です。

さらに門前仲町では、既存のテニス場をショッピングストリートへと再開発し、地域のにぎわい創出を目指す提案がなされました。

私自身、これを見て改めて感じたのは、「体験に勝る学びはない」ということ。もちろん参加された高校生は皆さん優秀ではあるのですが、やっぱり現場でリアルに触れると、アイディアの質もぐっと上がるのだなあと実感しました。

それにしても、全員高校生だとは信じられないくらい、プレゼンは堂々としていて大人っぽかったです。

本当に楽しそうに、誇らしげに発表している姿を見て私も胸が熱くなりました。

EACの様子1

EACの様子2

EACの様子3

“区民の生活の足”である路線バスが失われる?交通サービスの現状と未来

次にお話しするのは、路線バスの混雑や緩和策について。

私は区民の皆さんから「バスが混みすぎていて乗れない」「減便されて不便になった」「もっと交通手段を増やしてほしい」といったご相談を本当にたくさんいただいてきました。

特に最近は、東京駅から有明方面に向かう都営バスの路線についての問い合わせが非常に多く、そのたびに区として、都として、なんとかできないかと模索してきました。

この路線は、東京ビッグサイトやチームラボの展示など、観光目的で訪れる方々にも大人気です。それはそれでとても良いことなのですが、その結果、地元の方々が「毎日の生活の足」として使っているはずのバスが、満足に利用できない状態になってしまっていたのです。

この状況をなんとかしようと、私たちは都や交通事業者に「増便」を強く働きかけました。そして、なんとか一部の路線では増便が実現しました。正直、これは本当に嬉しかったです。少しずつでも、区民の方々の声が届き動かせたという実感がありました。

その矢先のことです。地下鉄8号線の委員会で、全体的にバスが「減便」されるという話が出てきたのです。

理由は明白。ドライバー不足です。

これはバスに限った話ではありません。タクシー業界も同じですし、物流の世界も深刻です。人手が足りない。これはもう社会全体の問題であることはすでに周知の事実です。

今後に向けた対策としては、「デマンド交通」や「自動運転」への移行を本気で検討すべきだと考えています。AIや自動運転の技術は進歩していますし、それをうまく活用することで、ドライバー不足の解決に一歩近づけるのではないかと考えています。

江東区を走るバスの様子

たとえば、今話題になっている自動運転の実証実験。実は私も、実際にその車両に乗車する機会がありました。

https://www.youtube.com/watch?v=-6WNPAmw2Dw

正直にいえばスピードはゆっくりなので、少々ヤキモキする面もありました。完全実用化までには、まだまだ課題は多く、急な車線変更が必要な場面などでは、ドライバーがハンドルを握る必要もあります。完全な「レベル5」自動運転にはほど遠いと感じたのが本音です。

でも、それでも確かに「未来」を感じました。

こういった実証実験を通して、自治体も、企業も、そして区民の皆さんも、「新しい移動のかたち」への理解を深めていくことが重要だと思います。

もちろん、自動運転にすぐに全てを切り替えられるわけではありません。しかし、現状の交通サービスのままでは限界が見えているのです。そうであれば、試行錯誤をしながらも、少しずつ前に進むしかありません。

ちなみに、チームラボのような大規模イベントには、「専用のシャトルバスを出してもらえればいいのに」ともよく言われます。実は、すでに私たちからの強い働きかけも一助となり、シャトルバスは運行されています。それにもかかわらず、それでも人が溢れかえるほど、来場者が多いのです。

裏を返せば、それだけ江東区の魅力が国内外に伝わっているということ。喜ばしいことではあるのですが、観光と生活のバランスをどう保つかは、今後ますます重要なテーマになっていくと感じています。

“箱”の新設よりも、人への投資を増加する政策転換を

ここ最近特に感じているのは、施設――いわゆる「箱もの」ばかりが増えて、人への投資が後回しになっているのではないか、ということです。

たとえば文教委員会では、区立幼稚園を閉園していくという方針が示されていましたが、自民党から「閉園を見直すべきではないか」という意見が出たことで後に見直しとなりました。

方針変更の背景には、さまざまな思惑があるとは思いますが、現場の声をどこまで聞いたうえでの見直しなのか、不安に感じる部分もあります。

江東区は、他の区と比べても施設がとにかく多い。

区立の幼稚園もそうですし、児童館、図書館、スポーツセンター、文化センター……こうした「箱もの」と呼ばれる施設が、本当にたくさんあります。もちろん、それらの設立や運営が悪いわけではありません。地域サービスとして必要なものも多くありますし、実際に利用されている方々もたくさんいます。

子ども家庭支援センターもの新設も重なり、それに加えて長寿サポートセンターも増設、特別養護老人ホーム(特養)も新設されています。いくら少子高齢化といえども、「箱を増やす」ことが本当に問題の解決になるのか?と、やはり疑問を持たずにはいられません。

もちろん、私も子ども中心の施策は大切だと思っています。でも、それは施設をどんどん設立することとはイコールではありません。必要なサービスや支援を必要な人に届けるには、「人」の力が欠かせないからです。

介護職員と笑顔の利用者

たとえば今回の予算案にも、臨海部での放課後等デイサービスの新規事業に対して、3カ年の補助金が計上されました。でも、臨海部はご存じのとおり、江東区内でも家賃が非常に高い地域です。3年間だけ補助金を出して、あとは運営者にお任せ……というスキームでは、到底持続可能とは思えません。

私は、「そんなに高い場所に施設をつくるよりも、もっと家賃の安い場所に設立して、人にきちんと支援を回し、バスで送迎するなどしたほうが合理的じゃないですか?」という話を、何度もしています。でも、なかなかそういう考えが通らないのが現実です。

これは、やはり与党・自民党が第一会派として強い影響力を持っているからでしょうか。声が大きいと、どうしても要望が通りやすくなる面はあると思います。でも、今のような物価高騰の中で、箱を作るというのは相当なコストがかかります。建てるだけで終わりではありません。運営費、人件費、維持費……そのすべてが長期的に区の財政を圧迫していくのです。

そしてやはり忘れてはならないのは、「人がいない」という現実です。

たとえば塩浜に新しく設立された特養施設。立派で綺麗な建物ですが、事業所がなかなか決まらず、開設がどんどん遅れてしまいました。

ようやく運営者が決まったものの、今度は働き手が集まりません。とにかく介護職員が足りないこともあり、入居者を十分に受け入れられないケースもよくみられたものです。これでは、せっかく入りたくても入れない高齢者の方々が報われないでしょう。

建物はあるのに、人がいないから機能しない――。これが、今の江東区の現実です。

だからこそ、私は「人への投資」にもっと目を向けてほしいと強く思います。

介護職に就く方が資格を取りやすくなるようなサポート、そして何よりも大切なのが「給料」。とにかく手取りを増やして、働く人が報われるようにしていかないと、誰も現場に残ってくれません。

繰り返しになりますが、私は“箱ばかりを増やす”やり方には疑問を持っている。もっとはっきりと言うならば反対の立場です。

行政が担うべきは、箱を用意することよりもそこに命を吹き込む“人”への支援だと思っています。

もちろん、先にも述べたとおり施設の新設を全面的に否定するわけではありません。

ただ、今の江東区は少しバランスを見失っているように感じてなりません。地域の声を聞くことは大切。でも、その声をどう政策に反映させるかは、やはり政治に携わる者の責任です。

地元への還元だけを目的にするのではなく、もっと全体を俯瞰して「持続可能な自治体」を目指していくべきだと考えています。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

刺激的だったEACの視察報告と、
江東区の未来に向けた政策のお話し

刺激的だったEACの視察報告と、江東区の未来に向けた政策のお話し

三次ゆりか
三次ゆりか

みなさまこんにちは。
江東区議会議員の三次ゆりかです。

三次ゆりか
三次ゆりか

今回は、私の最近のプライベートに関する小話から。

私はかねてよりスナックで働いてみたいと思っていました。地元の方々のグラスにお酒を注ぎながら、ああでもないこうでもないとお話する。実のある話でも、そうでもない話でも、お喋りが大好きな私にとっては天職ではないかと思ってきたのです。

そして先日から、週に1〜2回というペースながら知り合いの手伝いという形でスナックデビューを果たすことになりました。

スナックデビューをした三次ゆりか

まだまだ議員活動に邁進するつもりですし、次のキャリアを考えるのは気が早いものですが、私にとっては「第三」でも「第四」でもいい。やりたいことを、やりたいときにチャレンジしていきたい。それがスナックの経営になるのかはまだ分かりませんが、そんな思いでいます。

さらに Youtubeの人気チャンネルである「令和の虎CHANNEl なでしこ版」に参加させていただきました。プレゼン内容は「若手の出馬をサポートし多くの地方議員を輩出したい!」。結果はどうなったのか・・・。無事に資金は得られたのか。はたまた虎の皆さんにコテンパンにされてしまったのか・・・。ぜひご覧ください。

【前編】

https://www.youtube.com/watch?v=hpGKLLEN6dM

【後編】

https://www.youtube.com/watch?v=lTN9Uib76fg&t=1424s

アジアの高校生が東京に集い、江東区の観光振興策をプレゼン

まずは、先日私も関わることができた、とても刺激的イベントについて紹介したいと思います。3月24日から30日まで東京で開催された『Economics Asia Convention(EAC)』です。

このEACというイベント。名前だけ聞くとなんだか難しそうに聞こえますが、かなりエネルギッシュで、未来を感じさせてくれる素晴らしいもの。簡単に説明すると、アジアの優秀な高校生たちが一堂に会して、経済・金融・ビジネスについて学び、考え、そして交流する場です。

日本を含めたアジア数国の高校生たちの純粋な情熱と、国や地域を超えた交流の可能性に、たくさんの希望と刺激をもらいました。

今年は日本、そして東京での開催だったこともあり、せっかくならと、私たちの江東区にもスポットを当ててもらうことになっていました。

具体的には、区のシティプロモーション課の課長に協力してもらい、高校生たちに江東区の魅力や現状について紹介。さらに深川、臨海、砂町、亀戸という4つの特色あるエリアに絞り、それぞれの地域でどんな観光振興策が考えられるか、高校生たちにプレゼンしてもらうという企画が実行されました。

今回は、日本、香港、マカオ、ネパールから高校生が集まったのですが、課長の話を熱心に聞いたあと、すぐに各エリアに分かれて現地調査に突入。わずか1日という限られた時間で、彼らは自分たちで見て、感じて、考え抜いた提案を英語でまとめ、翌日には堂々とプレゼンテーションを行いました。

彼らの発想力と行動力には本当に驚かされました。

たとえば、亀戸では、歴史と情緒あふれる街並みを活かし、人力車ネットワークの導入、豊洲では、活気あふれる市場の魅力を体験できるよう、セリ見学と握り寿司作り体験を組み合わせたプログラムが構想されています。

清澄では、清澄公園の自然豊かな空間を活用し、カフェ体験を通じて訪れる人々に癒しの時間を提供するアイデアが挙がりました。砂町では、地元商店街である砂町銀座を「天ぷらストリート」として特化し、食の魅力をさらに発信していく計画です。

さらに門前仲町では、既存のテニス場をショッピングストリートへと再開発し、地域のにぎわい創出を目指す提案がなされました。

私自身、これを見て改めて感じたのは、「体験に勝る学びはない」ということ。もちろん参加された高校生は皆さん優秀ではあるのですが、やっぱり現場でリアルに触れると、アイディアの質もぐっと上がるのだなあと実感しました。

それにしても、全員高校生だとは信じられないくらい、プレゼンは堂々としていて大人っぽかったです。

本当に楽しそうに、誇らしげに発表している姿を見て私も胸が熱くなりました。

EACの様子1

EACの様子2

EACの様子3

“区民の生活の足”である路線バスが失われる?交通サービスの現状と未来

次にお話しするのは、路線バスの混雑や緩和策について。

私は区民の皆さんから「バスが混みすぎていて乗れない」「減便されて不便になった」「もっと交通手段を増やしてほしい」といったご相談を本当にたくさんいただいてきました。

特に最近は、東京駅から有明方面に向かう都営バスの路線についての問い合わせが非常に多く、そのたびに区として、都として、なんとかできないかと模索してきました。

この路線は、東京ビッグサイトやチームラボの展示など、観光目的で訪れる方々にも大人気です。それはそれでとても良いことなのですが、その結果、地元の方々が「毎日の生活の足」として使っているはずのバスが、満足に利用できない状態になってしまっていたのです。

この状況をなんとかしようと、私たちは都や交通事業者に「増便」を強く働きかけました。そして、なんとか一部の路線では増便が実現しました。正直、これは本当に嬉しかったです。少しずつでも、区民の方々の声が届き動かせたという実感がありました。

その矢先のことです。地下鉄8号線の委員会で、全体的にバスが「減便」されるという話が出てきたのです。

理由は明白。ドライバー不足です。

これはバスに限った話ではありません。タクシー業界も同じですし、物流の世界も深刻です。人手が足りない。これはもう社会全体の問題であることはすでに周知の事実です。

今後に向けた対策としては、「デマンド交通」や「自動運転」への移行を本気で検討すべきだと考えています。AIや自動運転の技術は進歩していますし、それをうまく活用することで、ドライバー不足の解決に一歩近づけるのではないかと考えています。

江東区を走るバスの様子

たとえば、今話題になっている自動運転の実証実験。実は私も、実際にその車両に乗車する機会がありました。

https://www.youtube.com/watch?v=-6WNPAmw2Dw

正直にいえばスピードはゆっくりなので、少々ヤキモキする面もありました。完全実用化までには、まだまだ課題は多く、急な車線変更が必要な場面などでは、ドライバーがハンドルを握る必要もあります。完全な「レベル5」自動運転にはほど遠いと感じたのが本音です。

でも、それでも確かに「未来」を感じました。

こういった実証実験を通して、自治体も、企業も、そして区民の皆さんも、「新しい移動のかたち」への理解を深めていくことが重要だと思います。

もちろん、自動運転にすぐに全てを切り替えられるわけではありません。しかし、現状の交通サービスのままでは限界が見えているのです。そうであれば、試行錯誤をしながらも、少しずつ前に進むしかありません。

ちなみに、チームラボのような大規模イベントには、「専用のシャトルバスを出してもらえればいいのに」ともよく言われます。実は、すでに私たちからの強い働きかけも一助となり、シャトルバスは運行されています。それにもかかわらず、それでも人が溢れかえるほど、来場者が多いのです。

裏を返せば、それだけ江東区の魅力が国内外に伝わっているということ。喜ばしいことではあるのですが、観光と生活のバランスをどう保つかは、今後ますます重要なテーマになっていくと感じています。

“箱”の新設よりも、人への投資を増加する政策転換を

ここ最近特に感じているのは、施設――いわゆる「箱もの」ばかりが増えて、人への投資が後回しになっているのではないか、ということです。

たとえば文教委員会では、区立幼稚園を閉園していくという方針が示されていましたが、自民党から「閉園を見直すべきではないか」という意見が出たことで後に見直しとなりました。

方針変更の背景には、さまざまな思惑があるとは思いますが、現場の声をどこまで聞いたうえでの見直しなのか、不安に感じる部分もあります。

江東区は、他の区と比べても施設がとにかく多い。

区立の幼稚園もそうですし、児童館、図書館、スポーツセンター、文化センター……こうした「箱もの」と呼ばれる施設が、本当にたくさんあります。もちろん、それらの設立や運営が悪いわけではありません。地域サービスとして必要なものも多くありますし、実際に利用されている方々もたくさんいます。

子ども家庭支援センターもの新設も重なり、それに加えて長寿サポートセンターも増設、特別養護老人ホーム(特養)も新設されています。いくら少子高齢化といえども、「箱を増やす」ことが本当に問題の解決になるのか?と、やはり疑問を持たずにはいられません。

もちろん、私も子ども中心の施策は大切だと思っています。でも、それは施設をどんどん設立することとはイコールではありません。必要なサービスや支援を必要な人に届けるには、「人」の力が欠かせないからです。

介護職員と笑顔の利用者

たとえば今回の予算案にも、臨海部での放課後等デイサービスの新規事業に対して、3カ年の補助金が計上されました。でも、臨海部はご存じのとおり、江東区内でも家賃が非常に高い地域です。3年間だけ補助金を出して、あとは運営者にお任せ……というスキームでは、到底持続可能とは思えません。

私は、「そんなに高い場所に施設をつくるよりも、もっと家賃の安い場所に設立して、人にきちんと支援を回し、バスで送迎するなどしたほうが合理的じゃないですか?」という話を、何度もしています。でも、なかなかそういう考えが通らないのが現実です。

これは、やはり与党・自民党が第一会派として強い影響力を持っているからでしょうか。声が大きいと、どうしても要望が通りやすくなる面はあると思います。でも、今のような物価高騰の中で、箱を作るというのは相当なコストがかかります。建てるだけで終わりではありません。運営費、人件費、維持費……そのすべてが長期的に区の財政を圧迫していくのです。

そしてやはり忘れてはならないのは、「人がいない」という現実です。

たとえば塩浜に新しく設立された特養施設。立派で綺麗な建物ですが、事業所がなかなか決まらず、開設がどんどん遅れてしまいました。

ようやく運営者が決まったものの、今度は働き手が集まりません。とにかく介護職員が足りないこともあり、入居者を十分に受け入れられないケースもよくみられたものです。これでは、せっかく入りたくても入れない高齢者の方々が報われないでしょう。

建物はあるのに、人がいないから機能しない――。これが、今の江東区の現実です。

だからこそ、私は「人への投資」にもっと目を向けてほしいと強く思います。

介護職に就く方が資格を取りやすくなるようなサポート、そして何よりも大切なのが「給料」。とにかく手取りを増やして、働く人が報われるようにしていかないと、誰も現場に残ってくれません。

繰り返しになりますが、私は“箱ばかりを増やす”やり方には疑問を持っている。もっとはっきりと言うならば反対の立場です。

行政が担うべきは、箱を用意することよりもそこに命を吹き込む“人”への支援だと思っています。

もちろん、先にも述べたとおり施設の新設を全面的に否定するわけではありません。

ただ、今の江東区は少しバランスを見失っているように感じてなりません。地域の声を聞くことは大切。でも、その声をどう政策に反映させるかは、やはり政治に携わる者の責任です。

地元への還元だけを目的にするのではなく、もっと全体を俯瞰して「持続可能な自治体」を目指していくべきだと考えています。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事