
みなさまこんにちは。
江東区議会議員の三次ゆりかです。

早いもので2024年もいよいよ残りわずかとなりました。
今年もあっという間に過ぎ去り、気づけば年末の寒さが心身にしみる季節。
振り返れば、この1年もさまざまな出来事がありましたが、特に年始早々に起きた出来事には、多くの方の心に深い衝撃と悲しみを残したのではないでしょうか。
来年は穏やかな日々が少しでも多く訪れてくれることを願うばかりです。
さて今年最後のブログとなりますが、特別に気取ることなく、いつも通りのスタイルで私の考えや思いを率直に綴りながらお伝えできればと思います。年末の慌ただしい時期ではありますが、少しだけお付き合いいただければ幸いです。
パートナーシップ制度の可能性と課題:議会での議論を経て
一部の新聞などでは経過が報じられていましたが、12月2日には、江東区議会にて「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」に関し、参考人を招致したうえでの議論を行いました。
かねてより区内で議論が進む「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」について、私の思いや現状についてお話しさせていただきます。
この制度をめぐる議論は、私たちがどのような社会を目指し、どのように人々の多様性を尊重していくかを問う非常に重要なものです。そのため、慎重に議論を進めながらも、前向きに区民一人ひとりの声に耳を傾けていく必要があります。
江東区が提案する「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」は、同性カップルに限定せず、性別や法律婚にとらわれず、事実婚やLGBTQ+のパートナーを含む、多様な関係性を尊重することを目的としています。
この制度が導入されることで、パートナー関係を法的に認めることが難しい現行制度の中で、少しでも当事者の方々が安心して暮らせる環境を整える一助となることが期待されています。
現在、この制度は区議会での議論を経て進行していますが、議員の中には「社会の分断を招かないよう慎重に進めるべき」「時期尚早」といった意見もあります。
一方で、「早期実現を望む声」や「困っている人を救うべき」という区民の声も多数寄せられています。このような賛否の中で、大久保区長は「心配や不安の声にしっかり向き合いながら説明責任を果たす」と述べ、さらに慎重に議論を進める方針を示しました。

個人的には、この制度の意義を深く理解しています。

そして、これまで江東区議会で交わされた議論や参考人招致に参加する中で、多くの気づきと課題を認識しました。特に感じたのは、制度の対象となる方々の多様性と、それぞれが抱える課題の幅広さです。
例えば同性カップルが直面する住宅問題に関する意見もあります。こちらは参考人ではなく、江東区内に在住する私のゲイの友人の意見ではあるのですが、ゲイカップルが比較的収入が高い傾向にある一方で、レズビアンカップルは収入面で苦労することが多く、そのため江東区で暮らし続けることが難しいという現実があります。このような課題に対し、制度を活用することで少しでも解決の糸口を見つけられるのではないかと考えています。
また、参考人招致では、反対意見の中に「制度を悪用する人が出るのではないか」という懸念が挙げられました。しかし、こうした懸念が制度そのものの意義を否定する理由にはならないと思います。
どのような制度にも不正利用を防ぐための仕組みが必要ですが、それは運用方法やモニタリングの問題であって、制度の根幹に関わる問題とは言えません。むしろ制度が整備されていない状態では、区民が安心して利用できる仕組みがないまま放置されてしまう危険性があります。私たち議会は、こうした課題を一つ一つ丁寧に議論し、より良い制度を作り上げる責任があります。
さらに、他の自治体の取り組みからも学ぶべき点があります。
東京都内では、すでに23区のうち13区がパートナーシップ制度を導入しており、その運用の中で見えてきた課題や成果も参考にするべきです。豊島区のようにファミリーシップ制度を併せて導入し、さらに支援の幅を広げている事例もあります。江東区が目指すべきは、既存の制度をそのまま導入するのではなく、江東区に住む全ての人々が安心して暮らせる仕組みを創り出すことです。
この制度の本質は、多様な価値観や生き方を認め、すべての人が尊重される社会を目指すことにあります。結婚や家族のあり方は一人ひとり異なり、それを「普通」や「多数派」という理由で否定することはできません。人々が抱える課題は法律や制度だけでは解決できない部分もありますが、それでも行政がその一端を担い、支えになることが重要だと考えています。
私自身も、当事者の方々の声を直接聞きながら、この制度の必要性を強く感じています。困っている人がいるなら、その声に応えるのが行政の役割です。
人数やデータに頼るだけでなく、一人ひとりの生活に寄り添う姿勢が大切です。LGBTQ+の方々の中には、カミングアウトしていない方も多く、社会的なサポートが届きにくい現実があります。そのような中で、この制度があることで、少しでも生きやすさを感じてもらえたらと願っています。
江東区は「誰もが住みやすい街」を掲げています。
この理念を実現するためには、偏見や無理解を乗り越え、あらゆる人が尊重される社会を目指す努力を惜しむべきではありません。この議論が江東区の未来にとって有益なものとなり、一人ひとりが自分らしく暮らせる社会の実現につながることを心から願っています。
医療的ケア児と地域保育:保育現場の課題と行政の役割

もうひとつお話したいのが、区内で活躍されている保育さんたちの現状や待遇などについて。
地域社会の中で欠かせない存在である保育士さんたち。
地域社会の中で欠かせない存在である保育士さんたちが日々直面している課題は、時に制度や行政の対応の限界とぶつかり合い、大きな矛盾を生んでいます。
その現場の声に耳を傾け、どう改善していくべきかを模索することこそが、地域や社会の未来を支える鍵となるものです。
例えば、江東区では医療的ケア児を受け入れる保育園の数を増やそうという取り組みが進められています。
しかし、ここには多くの見えない課題が潜んでいます。医療的ケア児の受け入れには、専門的な看護師さんが必要であり、そのための人材確保や運営費が問題となっています。医療的ケア児には特別なケアが必要で、消毒液や衛生用品、専用の道具など、日々の雑費もかさみます。それに対する十分な予算が確保されなければ、運営側は大きな負担を強いられます。
さらに、看護師さんが体調不良や家族の行事で休む必要がある場合、代わりのスタッフを確保するのは非常に困難です。医療的ケア児に対応できる人材がいなければ保育が成り立たないため、現場では「運命共同体」のような重圧がのしかかります。
この状況では、看護師さんを雇うこと自体が難しくなり、結果的に受け入れを断らざるを得ない事態も生まれています。
こうした現場の苦悩を解決するには、行政からの支援が不可欠です。例えば、看護師さんを確保するための柔軟なシフト体制や、代替要員を確保するための補助金の拡充などが求められています。また、雑費についても、行政が一部でも負担を担う仕組みが必要です。
また、自然災害時の保育士さんたちの働き方も、大きな課題として浮き彫りになっています。
例えば、台風が接近する際、「仕事を休める人は休んでください」という方針を打ち出す他区もありますが、一方で江東区では保育士たちに通常勤務を求めるケースがあります。電車が止まると予想される状況でも、保育士さんたちは前泊を求められることがあり、その結果、多くのクレームが寄せられる状況も生じています。
「なぜ電車が止まると言われているのに、保育士さんだけが前泊してまで勤務しなければならないのか」という不満は、現場の保育士さんたちにとって深刻な問題です。こうした声を行政に届け、改善を求めることは簡単ではありません。
実際、現場の声が反映された結果、「仕事を休める人は休んでください」という方針が各保育園から発信されるようになったケースもありますが、これは保護者側にも混乱を招きました。
「区が直接言ってくれれば納得できるのに、なぜ保育園ごとに方針が違うのか」といった声も多く寄せられました。
このような状況では、保育園側も対応に苦慮し、結果としてエッセンシャルワーカーではない保護者が職場に休む理由を伝えづらくなることがあります。行政が一律の方針を示すことで、保護者も職場に対して堂々と休みを申請できる環境を整える必要があるのです。
さらに、現場では園長先生に対する不公平感も浮き彫りになっています。特に台風や緊急時には、園長先生も現場で保育士と同様に業務を行うことが求められます。しかし、園長先生は保育士の「1カウント」として認識されないため、スタッフ配置の面で大きな矛盾が生じています。
この点も改善が必要であり、園長先生を含めた柔軟な人員配置が求められています。
現場の声を聞くことは、制度を見直し、社会全体をより良くしていくための第一歩です。
保育士さんたちが直面している課題を解決するためには、行政、保育園、そして地域社会全体が協力し合うことが不可欠です。医療的ケア児の受け入れに必要な支援、災害時の保育士さんの働き方に関する一律の方針、園長先生の役割に対する適切な評価といった具体的な改善案を実現していくことが求められています。
現場で働く保育士さんたちの声を届けることで、私たちの社会がどのように変わるべきかを考え、一歩ずつ前進していきたいと思います。
それが、子どもたちの未来を支えることにつながると信じています。
区内の保育園にて、保育士体験に参加させていただきました
一年の終わりのご挨拶

本年もたくさんのご支援とお力添えをいただき、誠にありがとうございました。

この一年も江東区の未来をより良くするために、全力で議会活動に取り組んでまいりましたが、皆さまからの温かいご意見や声が大きな原動力となったことは言うまでもありません。
2025年も、頭と体をフル回転させながら、引き続き江東区の発展に尽力していきたいと思います。
そのためには、やはり区民の皆様からの声が欠かせません。
「こんなこと相談していいのかな?」と思うような些細なお悩みや、「これをなんとかしてほしい」という日々の気づきなど、ぜひ気軽にお寄せください。
SNSやメールなど、どんな方法でも構いません。いただいた声はしっかりと受け止め、議会での活動や地域での取り組みに反映させていけるよう努めてまいります。
皆さまの声が、江東区の未来を形作る大切な一歩です。一緒により良い街づくりを進めていけるよう、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
おまけ

最後は、今年の締めということで少しハメを外し気味の三次をご覧いただいて締めようかと思います(笑)
この秋から冬にかけても、地域の皆さまや家族とともにたくさんのイベントに参加させていただきました。
それでは皆さま、お体に気をつけて良いお年をお迎えください。
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