
皆さまこんにちは。
江東区議会議員の三次ゆりかです。

8月5日から7日までの三日間にわたり、全国若手議員の会(全若)の『創立30周年記念式典及び全国総会・研修会』に参加してきました。
会場は一日目が千葉市役所、二日目と三日目は衆議院第一議員会館。私は30周年特別部会における副部会長のひとりとして、2年ほど前からこの式典の開催に向けた準備を進めてきました。
一日目には、研修として昨年完成した千葉市役所の新庁舎の視察や、全若のOBである熊谷俊人千葉県知事による記念講演、30周年記念ロゴ表彰式などが実施されました。
新庁舎は、年齢や性別、障害の有無を問わずにすべての市民が安心して利用できるよう、ユニバーサルデザインが採用されています。また省エネや創エネを実現する高い環境性能を備えるほか、2011年の東日本大震災をきっかけに大きな課題としてあがった防災機能の面においても、基礎免震構造の採用、最先端の技術が施された危機管理センターを整備するなどしており、防災と災害発生時に備えた総合防災拠点としての役割も担います。
熊谷知事からは、ご自身のこれまでの活動を通して得られた経験や考えに基づきながら、私たち全若メンバーへ激励のメッセージをいただきました。また子育て支援対策や企業誘致の重要性といった、これからの地方政治において一層強化していかなければならない施策に対する向き合い方など、今後の議員活動に活かしていきたいアドバイスもたくさん聞くことができました。
二日目と三日目は衆議院第一議員会館へ移動。二日目は、議会改革サミットや第32回全国総会の実施、さらには実業家の堀江貴文さんによる記念公演も実施されました。
堀江さんからは、SNSを活用した選挙戦術、コンパクトシティの形成や地域ポテンシャルの発掘と解放に向けた取り組みの必要性、地域おこし協力隊やふるさと納税の活用といった内容のお話をうかがいました。
前日の熊谷知事からのお話と同様に、私たちのように地方政治を担う者にとってはピンポイントでタメになるお話ばかりで、とにかく勉強になったとの一言につきる講演でした。
世間的には少々恐い(?)イメージを持たれがちな堀江さんですが、何事にも真剣に向き合い、高い熱量を持って取り組まれる姿勢は、私たちが常に意識していかなければならない一面です。そして、いただいた「全若の皆さんは未来を形成できる立場であり、世代である」という趣旨の強いメッセージからは、他者を鼓舞する頼もしさと優しさが伝わり、理想的なリーダーとしての姿勢もうかがうことができました。
最終日となった三日目は、初代こども家庭庁担当大臣を務められた小倉まさのぶ衆議院議員による講演が行われたほか、午後からはチームラボボーダレス麻布台ヒルズへと視察へ。こうして三日間におよんだ『創立30周年記念式典及び全国総会・研修会』は無事に幕を下ろしました。
非常に濃度の高い三日間を一気に駆け抜けたこともあり、最終日を終えて帰宅した私は疲労度が最高潮に。おまけにその日は低気圧で雷もすごく、片頭痛と闘っていたこともあり普段よりも早々にぐっすりと眠ってしまいました・・・。
参加された全若の皆さま、講演をはじめ式典の開催にご協力いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
さて少し時間を遡りますが、7月は北海道と九州へと視察に出向きました。
今回のブログでは、この2つの視察ツアーのうち江東区議会議員としてうかがった九州視察の報告とともに、議員の視察に関して私からのちょっとした提案についてのお話をしたいと思います。
目次
介護業務の効率性や入居者の安全性を高める先進的介護システム「北九州モデル」
九州視察でうかがった先は、初日に北九州市、二日目に熊本市、そして三日目の福岡市。
初日の北九州市では、平成28年度の開始から続く先進的介護システム『北九州モデル』のを視察してきました。
『北九州モデル』は、国家戦略特区の指定を受けた北九州市がICT・介護ロボットを活用した、介護施設における抜本的な業務改善を目指す取り組みです。
少子高齢化を伴う介護現場での人材不足、職員の負担軽減といった課題解消はもちろんのこと、介護サービスの質や入居者のQOL(生活の質)の向上にもつながっていることから、全国的にも注目度の高い施策となっています。
ICTの活用例として興味深かかったのは、おむつへの導入。排尿を検知するセンサーを専用おむつに装着することにより、入居者の方の排尿状況をPCやタブレット、スマホから確認できるというものです。
排尿状況がリアルタイムで分かるということは、日中夜を問わず、職員の方が何度も数人分の確認をしに行くという負担が軽減されるほか、最低限の人手で排泄管理を行えるようになるわけです。
ほかにも、ベッドやお部屋などにセンサーを取り付けることによって入居者の方の動きがスマホに通知されるというものもあります。たとえば、入居者の方がベッドから降り、動き出すとします。この時点で通知がされるだけでなく、再びベッドに戻ったことも通知されるため、移動を始めたからといって職員の方が慌てて駆けつける必要がなくなります。
またベッドに寝ているだけで、呼吸数や心拍数、体重までをも計測できるなど、就寝の確認や体重測定などの業務の効率化も向上するというお話でした。
今回お邪魔した先は、こういった機器の展示や導入にあたってのコンサルティングなどを行う「北九州市介護ロボット等導入支援・普及促進センター」というところだったのですが、こちらのセンターが稼働する前までは、介護施設にセンサーやカメラを活用した“監視的”な業務に対して否定的な声が多かったといいます。
でも、今では業務の効率性や生産性の向上、入居者の方の安全面などおいてもメリットが高いという認識が広がり、そのような声はほとんど上がらなくなっているそうです。
介護現場へのICT・ロボットの導入は、全国的な普及が進められていますが、そうした分野の研究や開発の振興は、北九州市とその協力企業が旗振り役となったことがはっきりとうかがえる視察となりました。
「北九州モデル」の視察を希望する自治体は非常に多いということもあり、今後は行政の主導による介護関連のICT・ロボットの研究や開発、それにともなう人材の育成や企業への支援などが活発化していくのでしょう。
不登校児童生徒の孤立防止に高い効果を発揮する熊本市のフレンドリーオンライン
二日目と三日目は、それぞれ熊本市と福岡市へ。
熊本市では、主に教育面に関する視察を行いました。
世界的にも評価が低下している日本の教育において、熊本市の教育は先進的で高い評価を受けています。
そんな熊本市教育委員会が2022年からスタートさせたのがフレンドリーオンライン。不登校をはじめとする、学校への登校が難しい児童や生徒に向けた、ICTを活用するオンライン学習支援です。
現在では、およそ300人の児童生徒が参加しているようなのですが、単にオンラインで授業を受けられるだけではなく、チャットを通じて友人や先輩後輩関係を築けるなど、孤立しがちな自宅や学校の別室での生活のなかでも、“社会の中で生きていること”を実感できる仕組みや体制が整っています。
私は、このフレンドリーオンラインに早々から注目してきました。
まったく同じ形ではなくても、不登校の児童生徒が同じ内容での学習を受けられ、友人関係を育み、悩みや不安があれば助けを求められる環境を江東区でもつくりたいと考えており、実現に向けて動いているところです。
行政と事業者の双方に最大限のシナジーを生む福岡市の公民連携モデル
三日目の福岡市では、公民連携による事業モデルの仕組みなどを視察しました。
福岡市の高島市長が、民間スタートアップに対するサポートや起業の促進に力を入れていることもあり、公民連携の事業立ち上げが活発化しているのだそうです。
興味深かったのは、事業開始前に実施するトライアルの段階では福岡市から事業者に対して資金支援は行わないという点。このようなルールを敷くことにより、本当に経営体力のある事業者でなければ手を挙げることができなくなります。
ただ、行政としては資金援助に頼ることのない経営体力の事業者を選定したいのが本音ですから、表現は良くないもののトライアルの段階で事業者を“ふるい”にかけることができるわけです。
またトライアルとはいっても、事業の形はある程度形として見えてくるため、税金を捻出することなくそこに到達できるという点は大きなメリットです。一方の事業者側も、資金援助を受けていないために大きなプレッシャーがなく、伸び伸びとチャレンジすることができます。
このモデルを聞いた私の感想はたった一言。「上手い!」に尽きました。
どのような分野においても、支援や援助は大切です。でも、支援や援助を過剰に求める、または提供することによって負担やしがらみに縛られてしまい、本来の目的や目標から逸脱してしまうことは珍しくありません。
支援や援助の幅をどこまでに限定するのかという難しい課題を、行政と事業者の双方に最大限のシナジーが生まれるモデルの構築によってクリアされている福岡市のやり方は、やはり「上手い!」の一言に尽きます。
議員の視察に関する私からの提案

さて、ここからは議員による視察に対して私からの提案をお話ししたいと思います。
2泊3日で九州の3市を巡った視察は、私個人としても江東区議会としても大変実りのあるものとなりました。
ただ、今回の視察のルートは北九州市から熊本市、そして福岡市へ向かうもの。地理に詳しい方なら察しがついているかと思いますが、北九州市から一旦、福岡市を通過して熊本市へ行き、再び福岡市へ戻ってきているのです。
これはもちろん、視察へ向かう私たちや対応してくださる自治体の皆さまとのスケジュールの兼ね合いがあるため致し方のないことではありますが、決して移動の効率性が良いとはいえません。
また対応してくださる自治体の方々からしても、次々に訪れる視察へ対応することによって、時間的、人員的、労力的にも負担がかかるはずです。
そこで今後は、各自治体ともになるべく現地視察の回数を抑え、可能な限りオンラインで一斉に行うべきではないかと考えます。もしくはYouTubeなどの動画サービスを活用して、解説動画を配信・閲覧するといった手段でも視察の目的はある程度果たせるのではないでしょうか。
また各地自治体が先進プラットフォームの構築を進めることにより、議会質問も行いやすくなりますし、プラットフォームのアップデートが続けば、全国の地方議員も活用したいと考えることでしょう。
ですので、こうして提案した自治体関連のコンテンツの制作、プラットフォームの構築などを手助けしてくださる民間のスタートアップ企業の皆さまに期待したいと思っています。
今後、江東区でも民間と協働するICT事業がたくさん立ち上げられていくはずです。
その時は、多数のスタートップ企業さまの手が挙がることを願っています。
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