三次ゆりか
三次ゆりか

みなさんこんにちは。江東区議会議員の三次ゆりかです。

三次ゆりか
三次ゆりか

2月1日、豊洲市場に隣接する場外市場に「豊洲 千客万来」がオープンしました。

もともとは、豊洲市場の開場に合わせて2018年にオープンする予定でしたが、新型コロナの流行や運営企業の変更といったいくつかのアクシデントが重なり、5年遅れでのオープンに。同施設のオープンを楽しみに江東区へと転入された方も少なくないようで、区民の皆さんにとっては待望の一日になったのではないでしょうか。

私も、1月のプレオープン時に一足早くお邪魔してきました。

「豊洲 千客万来」は、温浴棟の「東京豊洲 万葉倶楽部」と食楽棟の「豊洲場外 江戸前市場」で構成された集客施設。「東京豊洲 万葉倶楽部」の大浴場や露天風呂、足湯には箱根・湯河原の源泉から運ばれたお湯が使用されており、都心にいながら日本有数の名湯を楽しめます。また、露天風呂や足湯では、東京湾を一望できる絶景を眺めながらの入浴ができるなど、非日常的な時間を過ごせるはずです。

一方、食楽棟の「豊洲場外 江戸前市場」は、江戸の街並みを再現した食事と買い物を楽しめる約70店舗が軒を連ねた3階建ての施設です。豊洲市場に隣接した立地という強みを活かした新鮮食材の販売や、寿司やうなぎなどの“東京の味”をはじめとする料理を提供する飲食店が出店するなど、まさに東京グルメの魅力の発信源ともいえる構成になっています。また、講習会や試食会といった、旬や季節に合わせたテーマのイベントも定期的に行われる予定だそうです。

来場すれば、入浴から買い物、食事までを一度に満喫でき、一日中歩き回っても飽きない「豊洲 千客万来」。江東区民のみなさんはもちろん、都民のみなさん、全国のみなさんも、ぜひ足を運んでみてください。

足湯に浸かる三次ゆりか

湯河原温泉の看板

【豊洲 千客万来オフィシャルHP】

https://www.toyosu-senkyakubanrai.jp/

地方における事業承継の視察を目的に「徳島老舗探索ツアー」へ

さて私の最近の活動ですが、去る1月30日から31日にかけて、徳島県へと視察に出向きました。

「徳島老舗探索ツアー」と題された今回の視察は、徳島県出身であり、企業再生をはじめとした様々な社会貢献活動をプロデュースされている「ディープ・ブランディング株式会社」代表のオキタリュウイチさんと、そのチームの方々が中心となって企画されたもの。

後継者不在により、事業の継続が困難に陥っている老舗の飲食店などを巡り、美味しい食事や心のこもったサービスを戴きながら、事業承継を目指す現状について代表の方々にお話をうかがってきました。

“再生の断念や停止”という問題を抱える神社仏閣が急増中

徳島県到着後、まず向かった先は徳島市内の「高良神社」です。

「高良神社」には、かつて応神天皇ら5代の天皇の補佐役として仕え、日本で初めて「大臣」の称号を賜ったとされる武内宿禰が祀られています。

決して華やかな神社とはいえないものの、そのひっそりとした静謐さの中に、どこか強い生命力を感じさせる佇まい。300年以上の時を生きたという伝説が残される宿禰の息吹が漂うような、神秘的な存在感が伝わってきました。

一方、時間を少し進めて2日目の帰途で立ち寄った阿南市の「八桙神社」。こちらの本堂の裏側に足を運んでみると、そこにはブルーシートがかけられた修繕の準備がされたままの小さな社が。

八桙神社の社

神社の関係者の方にお話しをうかがうことはなかったのですが、オキタさん達の話によると、どうやら十分な寄付が集まることなく、資金不足によって放置されているとのことでした。

「八桙神社」が抱えている“再生の断念や停止”という問題は、日本各地の多くの神社仏閣でもみられるようです。特に、檀家さんが集えば比較的に資金が集まりやすいお寺とは違い、神社は資金繰りに窮しやすいといわれています。

新型コロナに関する規制緩和によって、急速にインバウンドが復活傾向にある昨今、そして何よりも、日本の歴史と古来の息吹を現代と未来に伝える文化財としての寺社仏閣の保全や再生は、自治体の政策さらには国策として、さらに積極的に進めていくべきではないかと改めて思うのです。

最近では、クラウドファンディングを活用して神社仏閣の保全や再生を目指す動きも急増しているようですが、これに自治体や国のバックアップも重なれば、強力かつ確実性の高い支援体制が築けることは言うまでもありません。

空虚でありながら、それでも再生を待ち侘びているかのように放置された社を眺めながら、今を生きる私たちが日本古来の文化を未来へと導くために取るべき行動と想いを考えさせられた経験となりました。

地元企業立ち上げのプロジェクトにより復活を遂げた「二代目天竜」さん

次に向かった先は、美馬市のラーメン店「二代目天竜」さんです。

「二代目」と冠しているとおり、“初代”の天竜さんは先代の店主のリタイヤにより、10年ほど前に一度閉店されています。その後、復活を望む根強いファンの声に応えるかのように、地方創生・コンサルティングを手掛ける地元企業が中心となって復活プロジェクトを始動。

新たな店主を求めて東京で開催した事業説明会にて、立候補された神奈川県出身の方が先代よりレシピを受け継いだことにより、2020年に「二代目」として復活されました。

“初代”の味をなかなか再現できずに苦労されたというエピソードもあるようですが、後継者不在によって惜しまれつつ閉店の道を選んだ地元の人気店を、地元企業の主導、そして県外移住者を招いて復活させるという事業承継の成功モデルのひとつだといえます。

美馬市のラーメン店「二代目天竜」

二代目天竜のラーメン

クラウドファンディングで復活が決定した「川田まんぢう(長久堂)」さん

続いてお邪魔した吉野川市の「川田まんぢう(長久堂)」さんでは、5代目と6代目のご主人からお話しをうかがいました。

創業は明治5年、150年にもわたって和菓子づくりを続けてこられた老舗の「川田まんぢう(長久堂)」さんでしたが、工場の老朽化や職人さんの高齢化といった問題が表面化。設備の入れ替えや建物の建て替えにかかる資金の捻出も難しく、2023年の10月末で看板を降ろすことを決断されました。

しかし、創業時から変わらず製造され続けてきた名物の「川田まんぢう」の味を惜しむ声、さらにはテレビ番組での特集や新聞でその存在を知った方たちからの「一度は食べてみたかった」という声が挙がるようになり、6代目店主は再生の道を模索。オキタさん率いる「ディープ・ブランディング株式会社」のサポートを受けながら、クラウドファンディングを活用した再生プロジェクトを立ち上げられました。

そして、クラウドファンディングの募集からわずか2日で目標金額を達成。募集終了までには、目標金額の3倍以上にものぼる支援金が寄せられる結果となりました。

こうして、地元はもとより全国からも寄せられた“川田まんぢう愛”が結集し、事業の継続が決定。「ディープ・ブランディング株式会社」が事業承継先となり、寄せられた支援金を生産設備入れ替えや人材確保といった必要な費用の一部として役立てながら、老舗の味の復活に向けた歩みを進められています。

川田まんぢう(長久堂)さんの厨房

川田まんぢう

公的サービスの活用により事業承継を目指す「天水旅館」さん

「徳島老舗探索ツアー」の宿泊先は、阿南市の「天水旅館」さん。古き良き風情が伝わる旅館で、経営者であるご夫婦から温かなおもてなしを戴きました。

夜には、全国若手議員の会の同志であり、当会の四国ブロック代表を務める阿南市議会議員の水谷あゆみ議員が合流。旅館へ向かう道中に連絡をしてみたところ、自宅が「天水旅館」さんの近所とのとこですぐに駆けつけてくれました。

水谷あゆみ議員と三次ゆりか

天水旅館での様子

旅館の奥様はとても朗らかな方で、お話をしているだけでも元気を分け与えてもらえるのですが、大病を患われており、ご主人共々70代というご高齢でもあるため、近いうちにリタイアを考えているといいます。

「天水旅館」の看板は残したいという想いはお持ちであるものの、2人のお子様は引き継がれる意思がないご様子。そこで、「徳島県事業承継・引き継ぎセンター」が運営する「後継者人材バンク」に登録し、新たな経営者の元での事業承継を目指しているそうです。

「徳島県事業承継・引き継ぎセンター」は、徳島県商工会議所内に設置された事業引き継ぎの公的相談窓口であり、後継者不在問題を抱える事業者の事業承継を支援しています。そして「後継者人材バンク」は、「後継者不在の事業主」と「創業を目指す起業家」の登録を受け、双方の引き合わせと事業承継に必要な支援を行うサービスです。

民間企業主催の事業説明会を通じて復活を遂げられた「二代目天龍」さん、クラウドファンディングの活用により復活の道を切り拓いた「川田まんぢう(長久堂)」さんとは異なり、「天水旅館」さんは、公的サービスの利用による事業承継を目指しているということになります。

天水旅館の門構え

天水旅館の客室

ツアーを終えての所感

「維持か復活か」。今回の「徳島老舗探索ツアー」では、事業承継の形は様々であると同時に、その手段は確実に多様化していることが実感できました。

ただ、「二代目天龍」さんや「川田まんぢう(長久堂)」さんのような成功事例がある一方、承継先が見つからずにやむ無く廃業に至ったケースも、数多く存在することは事実。また、手段の多様化が目立つなかでも、後継者不在問題を抱える事業者は減少するどころか、今後もさらに増加が続く見込みであるといえます。特に徳島県のような地方かつ人材の流出や減少が顕著な地域では、厳しい状況が続くのではないでしょうか。

オキタさんによれば、都市部や地方を問わず、起業を志望する若者が増えているといいます。ところが、起業はしたいものの、どういった事業で起業したいのかを問うても明確に答えられる若者はそう多くないのだそうです。そうした具体像を描けない起業志望の若者と、事業承継を目指す事業者とをマッチングさせられる支援を、民間と行政が手を携えながら充実させていくべきであると考えます。

日本の各地には、「失いたくない」、もしくは「守るべき」味や工芸品、建造物やサービスなどがたくさんあります。そして、そこには支えてきた先人の技術や知識、経験も併せて根付いています。おそらく、皆さんの中にも、地元やお気に入りの地域に思い当たるものが何かひとつはあることでしょう。

それらを今に残し、未来にまで繋げられるよう、全国的に事業承継の支援が拡充されることを願ってやみません。

<番外編>

三次ゆりか
三次ゆりか

本文でご紹介したところ以外にも、いくつかのお店に立ち寄らせていただいたので、まとめてご紹介します。

徳島名物の「たらいうどん」を賞味

初日の夕方に、徳島名物である「たらいうどん」をいただきました。本来お伺いする予定だったお店が臨時休業中だったため、急遽別のお店に変更。「たらいうどん」を提供するお店も、廃業が続いており減少傾向にあるようです。

たらいうどん

「阿波地美獲あおき」さん

ぼたん鍋や鹿肉料理といったジビエ料理を中心としたメニューを提供されています。

「神山シャングリ・ラ園」さん

和菓子職人と洋菓子職人のご兄弟で経営されている創作菓子店。「川田まんぢう(長久堂)」さんが製造されている「薄墨餡」を使用した、和洋コラボスイーツが楽しめます。

神山シャングリ・ラ園

和洋コラボスイーツ

「活魚 松永」さん

「天水旅館」さんと同じように、公共サービスの活用による事業承継を目指しておられます。味はもちろん、周辺に他の飲食店がないこともあり、今も地元の方々に愛される続ける繁盛店ですが、ご主人が早期の事業引き継ぎを希望されています。

活魚 松永さん外観

活魚 松永さん提供メニュー例

※番外編で紹介したお店のうち、事業承継を目指しておられるのは「活魚 松永」さんのみ

三次ゆりか
三次ゆりか

徳島県に立ち寄られた際には、ぜひ足を運んでみてください。