みなさんこんにちは。江東区議会議員の三次ゆりかです。
まずは1月1日に発生した令和6年能登半島地震、ならびに羽田空港での航空機衝突事故において尊い命を失われた方々に謹んで哀悼の意を表します。
重ねて、被害を受けられた皆様、現在も避難されている皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
希望あふれる元日に発生した大変痛ましい惨事に対し、大きな衝撃を受け深く心を痛めております。
皆様の安全と被災地の復旧、そして健やかな日常が一日も早く訪れますことを衷心より祈念しております。
さて、2024年最初のブログでお話しするテーマは「生徒主導による学校校則見直しの可否」、「横須賀市が実施するエンディングプラン・サポート事業をはじめとした孤独死対策についての視察・研修報告」、「青少年の自立と自助を支援する「一般社団法人コンパスナビ」への視察・研修報告」の3つです。
生徒会主導による学校校則見直しの可否
時代に即していない不合理な学校校則、いわゆる「ブラック校則」が社会問題化して久しいところですが、その多くは未だ見直しが進んでいないというのが現状かと思います。
先日、私の友人の娘さんである中学校1年生の女の子と校則についてお話しをする機会がありました。彼女によれば、「通っている中学校では、髪の毛を三つ編みにすることが禁止されている」というのです。
それを聞いた私の頭の中では、たくさんの「?」マークが舞い踊りました。「過度なブリーチやカラーリング、パーマ等ならまだしも、どうして髪を束ねるだけの三つ編みが禁止されているのか・・・・」。三つ編みが学校の風紀を乱すとは、とても思えないのです。
実は、何を隠そう彼女の通っている中学校は私の母校。そして、私は「校則と児童生徒指導を考える地方議員連盟」に所属している立場でもあることから、学校側の見解をうかがいたいと思い立ち、校長先生に直接うかがうことにしました。
校長先生によれば「三つ編み禁止」が校則に明記されているわけではないとのこと。ただし、1本や2本の三つ編みで髪を束ねる分には構わないものの、三つ編みを用いたファッショナブルな髪型にするのはNGとしているそうです。たとえば、コーンロウやハーフアップといったところでしょうか。
束ねるだけが目的の三つ編みは認められていて、ファッショナブルなアレンジは認められないというのは、どうにも曖昧な定義という印象です。それに、そもそも校則に明記がされていない、いわば暗黙のルールとして禁止されているという点もいささか腑に落ちないもの。
また、1年生の生活指導の先生にいたっては、三つ編み自体が禁止だと主張されているようで、先生間で校則についての認識に食い違いが生じている事態にあり、生徒も混乱しているといいます。
今回このような相談を受けたうえで、生徒や保護者の皆さんにお伝えしたいことは、校則の施行理由や見直しの要望などについての伺い立ては、生徒会が主体となって行うことが可能だということです。
学校によって方法や回数は異なるものの、基本的には生徒会が生徒から寄せられた意見を集約し、学校側と協議を進めるという流れになります。
つまり、学校側は生徒会からの意見や疑問に対する説明責任があり、必要だと判断されれば校則についての見直しも検討しなければならないということになるわけです。
ですので、納得のいかないルールや、詳しく説明を受けたい校則などがあれば、ぜひ生徒会へ寄せてみてください。学校によっては、目安箱を設置して生徒から気軽に意見や要望を集められるような工夫をしているところもありますが、設置がされていない場合でも、生徒会室に足を運んで直接伝えるといった方法でももちろん構いません。
それでも学校側から説明が受けられないなどの不誠実な対応がされるようであれば、三次のSNSやメールにてご相談ください。「校則と児童生徒指導を考える地方議員連盟」に所属する議員として、学校や教育委員会に対して真正面から働きかけていきます。
横須賀市が実施する孤独死対策についての研修報告
次に、「横須賀市が実施するエンディングプラン・サポート事業をはじめとした孤独死対策についての研修報告」です。
近年は、高齢者の孤独死が全国的な問題となっており、行政としてもその対応策の立案や実施が急務になっています。
厚生労働省の人口動態統計によれば、2022年に国内で死亡した日本人は156万8961人。また国立社会保障・人口問題研究所によると毎年150万人以上が亡くなる状態は2027年まで続くとされており、平均世帯員数が1.86人の江東区では孤独死の件数が今後上昇する可能性も否めない状態にあるといえます。
そこで、終末期や周没期に対する取り組みを学ぶべく、早期から孤独死対策を進めている横須賀市への視察と研修に参加しました。
市役所の廊下には、地元の高校生が描いた絵画が掲示されている
お悔やみの手続きをワンストップで完了できる取り組みも実施
横須賀市が孤独死対策として実施しているのが「エンディングプラン・サポート事業」と、「終活情報登録伝達事業」です。
2015年から実施されている「エンディングプラン・サポート事業」は、端的に説明すると、身寄りのない方が生前に葬儀会社を選択し、その契約時に自治体が立ち会うことで意思や葬儀遂行の流れを共有するという事業です。
「終活情報登録伝達事業」は、亡くなる方が意思表示できない状態で発見された場合であっても、身元保障先や本人の意思が確認できるよう、生前からそれらの情報が残されたモノを自治体と共有しようという事業であり、2018年から実施されています。具体的には、エンディングノートの在処、スマートフォンやパソコンなどのIDとパスワードといった情報を自治体に登録しておくという手段が用いられます。
身寄りのない方々にとって、頼れる存在は行政だけだといっても過言ではありません。そのような事情を踏まえると、横須賀市が実施する2つの事業は合理的かつ配慮に長けたものであると実感しました。
一方で、「エンディングプラン・サポート事業」は、遺体の埋葬や火葬を行う人がいない場合においては死亡地の市町村長がこれを行うことを定めた法律である「墓地埋葬法第9条」の予防事業のため、同法の対象者に限定されるという課題があるとのこと。「墓地埋葬法第9条」は、救急車も存在していない昭和23年に制定された法律であるため、孤独死の増加が見込まれる将来に向けては、速やかな法改正が必要なのではないかと考えさせられた次第でした。
また、本人の生前意思を尊重できた割合はわずか2割強とのことで、今後は事業のさらなる周知拡大が求められるといいます。
青少年の自立と自助を支援する「一般社団法人コンパスナビ」への視察報告
最後に、埼玉県にて児童養護施設退所者等のアフターケア事業を行う「一般社団法人コンパスナビさん」への視察・研修報告です。
江東区では現在、児童相談所基本構想を進めています。そのうえで、社会的養護から巣立った若者に向けた環境や支援の整備の必要性についても実感しており、今回の視察に至りました。
2015年に設立されたコンパスナビさんは、これまで300人以上の社会的養護対象の若者に対し、普通自動車免許取得の支援を行っているほか、「クローバーハウス」という運営施設にて児童養護施設退所者に対する就労支援や住居支援、自立支援プログラムといったアフターケア事業を提供しています。
事業のコンセプトは、若者の孤独対策やSOSに気づき、適切な支援につなげること。敷居が少々高めな公共の支援機関では相談しづらいことでも、気軽に相談できるような環境整備や取り組みに注力されています。
「クローバーハウス」には、現在150名程度の登録者がおり、1日に10名ほどが訪れるのだそうです。また、「遊びに来る感覚で訪れてほしい」という運営方針から、施設までの交通費は全額支給しています。
2018年からは埼玉県の委託を受けて事業を行っているものの、課題として上がっているのは運営費用。県の助成金や補助金の活用、それに個人の寄付金にて運営費用を賄っているほか、人件費については母体企業から捻出しているそうですが、運営費用の確保は厳しい現状にあるといい、今後はクラウドファンディングの活用も視野に入れた運営を予定しているそうです。
今回の視察は、児童や若者に対する重要性を再認識する機会となりました。コンパスナビさんの取り組みや抱えておられる課題を踏まえて、江東区としての支援策をどう整備し実施していくべきかについて、引き続き検討していきたいと思っています。
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