みなさまこんにちは。
三次ゆりかです。
今回のブログでは、以前からお伝えしておりましたスウェーデン・デンマークでの「性教育・ユースクリニック視察研修」について、ご報告させていただきます。
今回の視察には、議員だけでなく、保健師や助産師、母子支援や女性支援の現場で日々活動されている方々など、多様な専門性を持つメンバーが参加しました。
北欧諸国は、ユースクリニックや包括的な性教育の分野において世界的にも先進的な取り組みを行っており、その実践を直接学び、日本における制度や現場への導入につなげていくことが大きな目的でした。
5日間という限られた期間ではありましたが、現地で得た知見は非常に多く、私自身の視野も確実に広がった貴重な機会となりました。
目次
視察研修の全体像と研修の密度
今回のスウェーデンとデンマーク視察は、想像していた以上に密度の高い5日間となりました。
現地でのスケジュールは非常に濃く、ユースクリニックの視察をはじめ、DVシェルターや支援団体、現地(デンマーク)で活動する日本人の方へのヒアリングなど、多岐にわたるプログラムが組まれていました。
事前に共有されていた資料は詳細である一方、情報量が多く把握が難しい面もあったため、到着初日の早朝には、自分なりに必要な情報を整理して1枚にまとめた工程表を作成。結果として、この資料が参加者の皆さんとの共通認識を深めるツールにもなり、視察全体の理解をよりスムーズにしてくれたと感じています。
また、今回の研修の大きな特徴は、議員だけでなく、保健師や助産師、母子支援や女性支援に携わる方々が共に参加していた点です。
移動中や食事の時間にも自然と意見交換が生まれ、それぞれの現場での課題や実感を共有しながら学びを深めることができました。
制度としての理解だけでなく、「現場ではどう活かせるのか」という視点が常にあったことは、今回の視察の大きな価値のひとつだったと感じています。



スウェーデンのユースクリニックの実態
最初に訪問したのは、スウェーデンのマルメ市にあるユースクリニックでした。
スウェーデン国内には約300か所ものユースクリニックが存在し、若者が気軽に相談できる環境が整えられています。施設の規模も大きく、看護師や助産師など多くの専門職が常駐している点が印象的でした。
特に驚いたのは、助産師の役割の広さです。
日本では医師が担うことの多い避妊の処置やピルの処方、性感染症の検査などを、助産師が主体となって行っていました。医師を介さなくてもケアが完結する仕組みは、専門職の活用という観点から見ても非常に合理的だといえるのではないでしょうか。
また、ユースクリニック内には「コンドームルーム」が設けられており、若者が自由にコンドームを持ち帰ることができます。こうした取り組みが無料で提供されている点にも、大きな衝撃を受けました。


性教育と避妊のリアル 広がる選択肢
現地で特に印象に残ったのが、避妊の選択肢の豊富さです。
インプラントと呼ばれる腕に埋め込むタイプの避妊法や、IUD(子宮内避妊具)などが広く普及しており、若い世代でも当たり前のように利用されています。
これらは単に避妊のためだけでなく、月経のコントロールや生活の質の向上にもつながるものです。日本でも一部導入されていますが、認知度やアクセスのしやすさという点では大きな差を感じました。
さらに、アフターピルも薬局や医療機関でスムーズに入手できる環境が整っており、望まない妊娠を未然に防ぐ仕組みが確立されています。
こうした「選択肢の多さ」と「アクセスのしやすさ」が、結果として社会全体の安心につながっているのだと実感しました。





乳児遺棄がほとんどない社会の背景
もうひとつ、視察の中で強く印象に残ったのは乳児遺棄がほとんどないという現実です。
現地の方に話を伺う中で、「赤ちゃんを遺棄する」という事例自体をほとんど聞いたことがないという言葉には、大きな衝撃を受けたものです。もちろん「赤ちゃんポスト」など存在しません。
その背景には、徹底された性教育と避妊や中絶への確実なアクセスがあります。
医療の進歩に応じて中絶の選択肢も整備され、誰もが適切なタイミングで支援を受けられる仕組みが構築されています。
日本では、生後間もない子どもが命を落とす痛ましい事件が繰り返されています。
そのたびに女性だけが逮捕されることに強い憤りを感じてきましたが、今回の視察を通して、「適切な仕組みがあれば防げる」という確信に変わりました。
これは大きな気づきであると同時に希望でもあります。
DVシェルターと支援の現実
DV被害者のためのシェルターも視察させていただきました。安全確保の観点から所在地は非公開で、外観からはシェルターと分からないようになっています。内部の詳細な撮影はできませんでしたが、支援体制の丁寧さや安心感のある環境づくりが印象的でした。
一方で、DVという問題そのものは国を問わず存在しており、決して北欧だけが特別に解決されているわけではありません。
どの社会にも一定数存在する課題であり、それにどう向き合うかが重要であると感じました。
支援の仕組みが整っていることはもちろんですが、被害者が安心してアクセスできる環境をどう作るか。その点においては、日本にもまだ改善の余地があると感じています。
デンマークとの比較と社会の価値観
同じ北欧であっても、スウェーデンとデンマークでは意識や評価に違いがあることも興味深い点でした。
デンマークの関係者の中には、「スウェーデンをはじめとする北欧諸国とくらべれば、自国はまだ遅れている」と感じている方もいれば、市民レベルでは「十分に進んでいる」と認識されているのだそうです。
ちなみに、デンマークの公共交通機関の仕組みも印象的でした。
駅には改札がなく、アプリで乗車・降車を管理するシステムが導入されていました。
このシステムは、一見すると自己責任に委ねられているように見えます。しかし、違反には高額な罰金が科される一方で、多くの人がルールを守って利用しているのは、社会全体の信頼関係があるからこそだと感じました。
高い税負担の中でも、それが社会に還元されている実感があるからこそ、制度が成り立っている。この点は、日本においても重要な視点だと思います。

日本でできること 自治体の可能性
今回の視察を通して、「日本でもできること」は確実にあると感じました。
東京都ではすでにユースクリニックの導入が進められており、自治体単位での取り組みも現実味を帯びてきています。
例えば、学校における性教育の充実や、助産師・保健師の積極的な活用、母子支援との連携強化などは、今すぐにでも取り組める分野です。制度の整備を待つだけでなく、現場レベルでできることを積み重ねていくことが重要だと感じています。
視察に参加したメンバーとも、「一緒にできることから始めていこう」という前向きな話ができたことは、とても大きな収穫でした。
視察を通して見えた希望とこれから
今回の視察で得た最大の学びは、「やれば変えられる」という実感です。
これまで課題として捉えていた問題も、適切な仕組みと環境があれば解決に近づけるという確信を持つことができました。
もちろん、今回視察した北欧のモデルをそのまま日本に当てはめることは簡単ではありませんし、そのまま当てはまるものではないと思っています。ただ、その中には確実にヒントがあり、取り入れられる要素も数多く存在していることは確かです。
これからは、この学びを現場にどう活かしていくかが問われます。
最後に、今回の視察を通して改めて強く感じたことがあります。
それは、日本の自治体議員こそ、もっと海外に目を向けるべきだということです。
どうしても「税金を使って海外視察に行くのか」といった批判を気にしてしまう風潮がありますが、本来大切なのは、その先で何を学び、どう活かしていくかではないでしょうか。
実際に現地に足を運び、自分の目で見て、肌で感じることでしか得られない気づきが、今回の視察には数多くありました。
特に東京のような都市部では、国内の他自治体を視察しても「すでに自分たちの方が進んでいる」などと感じてしまう場面も少なくないものです。
その点、海外にはまだまだ学ぶべき先進的な取り組みがあり、自分たちの当たり前を見直す大きなきっかけになります。
そして何より重要なのは、視察や研修を「行って終わり」にしないことです。学んだことをしっかりと発信し、現場や政策に落とし込んでいく責任があります。
今回は議員だけでなく、保健師や助産師などの専門職の方々と共に視察できたことも、非常に大きな意義がありました。それぞれの立場からの視点が重なり合うことで、より実践的で現実的な学びにつながったと感じています。
今回の経験を一過性のものにするのではなく、江東区の、ひいては日本の未来に確実につなげていく。その決意を胸に、これからの活動にしっかりと活かしていきます。
